天使のあら探し

月曜日

　気候の推移を読み違え、体温調節をあやまる。ほつれたパーカーが汗まみれになる。

　宮台真司と竹熊健太郎がエヴァンゲリオンについて話していたラジオ番組のエアチェックを聞く。
　ラブアンドポップの主題歌がすばらしい。脱力。

火曜日

　レポートを書くためにファミレスで徹夜する。ちょっと脳内物質のバランスが崩れる。
　HOSのライブを見に行ったのだが、なんかのスイッチが入ってしまい、舞台に立っている人が全員どこかで会ったことあるような気がしてきて、エンドロールの名前が全員知り合いの名前に思えてきてしまう。最初に出ていた女の子コンビのネタしか覚えていない。
　家に帰ってもずっとスイッチが入りっぱなしになっている。柄にもなく猫のことを考えて気を紛らわす。するとすぐにかさぶた色の女が僕の猫を殺してしまうので、大変困った。

水曜日

　夕方駅前に出かけると、ドラッグストアの蛍光灯が突然割れ、パチンコ屋の前では中年の男二人が罵詈雑言を浴びせながら取っ組み合っていた。別に驚くことでもないが、まだ明るいうちだったので少し珍しかった。F市では昨日ちょっとしたニュースになるような殺人事件が起きた。台風の接近による気圧の乱高下で、人々の三半規管が変調しているのかもしれない。

木曜日

　リンスかなと思ったら精子。

金曜日

　友人と映画を観に行く。二人で食事をしているときに気分が変わったので見る映画を変えることにする。二人で観るなら、なるべく、カーアクションとかラブロマンスとかそういうのがない、もっと言えば映画の最中何も起こらないような、そんな映画がいいね。というはなしになって、わざわざ電車を乗り継いでまで観た映画は、しかし退屈など全くせず、こんなことを言うのも恥ずかしいが、少し、救われた気分にすらなった。本当によかった。

土曜日

　墓場から　くすねた香で　むだ毛処理
　うずくまる　園児を積んで　できた家

日曜日

　私が一番性格が悪いとき、それは計算機を触っているときで、二番目が酒を飲んだはじめの２０分。なぜか両方とも女口調になる。
　小宮さんの家で飲み会がある。僕は最近レポートラッシュのせいで昼夜逆転しているので、早めにおいとまさせてもらう。山岡さんが津田君を駅まで迎えにいくタイミングに合わせようかなと思ったが、津田君はもう近くまで来てしまっていたので、結局一人で歩くことになった。本当のことを言うと、少し寂しかった。不忍通りを通ったときここをまっすぐ南下すれば僕が住んでいた町に、そして湯島や銀座につくのだと思った。駅までの道は暗くて寂しくてもう半分泣いてしまいそうだった。駅前は、拓けて道は広かったけど人が誰もいなくて、そんなのは犯罪的だと思った。